「観る前の自分には戻れない」
「おっ!ガッキーついに濡れ場か」なんて思った僕を怒ってください(笑)。
そんな目線で観ていい作品ではありません。
かーなーり考えさせられる作品でした。多様性について「理解しているつもり」でいた自分でしたが、まだまだです…。
「結婚しないの?」とか「彼氏・彼女は?」「子どもは?」など気軽に口にしている人は、要注意かと思います。
本作を観終わる頃には、人の見え方がかなり変わってくると思います。
まっ前置きはここらへんで、いってみよ〜〜。
「正欲」はどんな作品?
↑原作になります↑
本作は、「桐島、部活やめるってよ」で小説すばる新人賞を受賞した「朝井 リョウ」さんの2021年の作品「正欲」が原作となっています。
監督には、「前科者」などを手がけた「岸善幸」さん。そしてキャストには、岸監督の希望で「稲垣吾郎」「新垣結衣」「磯村勇斗」などが主要人物として登場。
非常に考えさせられる映画。
本作の大きなテーマは、最近よく耳にする「多様性」になるかと思います。
人はそれぞれ悩みをもち、さまざまな問題を抱えている。それは「人に言えない」こともある。
異なる特徴を持つ人が「存在する」ということを描いた作品になっています。
スタッフ・基本情報
監督 | 岸善幸 |
脚本 | 港岳彦 |
制作 | 中村優子 杉田浩光 富田朋子 |
原作 | 朝井リョウ「正欲」 |
製作国 | 日本 |
日本公開日 | 2023年11月10日 |
上映時間 | 134分 |
ジャンル | ドラマ |
「正欲」サブスク配信状況7社
動画配信サービス | 配信状況 |
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U-NEXT | ◯(レンタル) |
Hulu | ◯(レンタル) |
Netflix | ◯ |
Amazonプライムビデオ | ○(レンタル) |
Disney+ | ✕ |
DMM TV | ◯(レンタル) |
【TSUTAYA DISCAS】 | ○ |
配信状況は変更の恐れがあります。各サイトで確認をおすすめします!
「正欲」主な登場人物
寺井啓喜…稲垣吾郎
横浜で検事をしている。小学生の息子は不登校で、Youtubeの投稿を始めるが、浮かない表情を続ける。
そのことが原因で、妻とは衝突を繰り返す。
固定概念が強く、「普通は」などをよく使う。異常者をおかしい奴としか捉えない。
桐生夏月…新垣結衣
寝具の販売店員を勤めている。
中学時代の同級生で、「ある共通点」のある佐々木佳道と友人の披露宴で再開を果たす。
彼女は、彼と一緒に暮らすことになるが…。
佐々木佳道…磯村勇斗
桐生夏月の同級生。
彼女との「共通点」を克服しようと、色々試みるが、うまくいかない。
「死」も考えるが、桐生夏月との再開で、気持ちが変わっていく。
諸橋大也…佐藤寛太
大学生でダンスサークル「スペード」に所属している。
彼もある悩みを持って活きている1人。
「正欲」あらすじ
横浜に暮らす検事の寺井啓喜は、息子が不登校になり、教育方針を巡って妻と度々衝突している。広島のショッピングモールで販売員として働く桐生夏月は、実家暮らしで代わり映えのしない日々を繰り返している。ある日、中学のときに転校していった佐々木佳道が地元に戻ってきたことを知る。ダンスサークルに所属し、準ミスターに選ばれるほどの容姿を持つ諸橋大也。学園祭でダイバーシティをテーマにしたイベントで、大也が所属するダンスサークルの出演を計画した神戸八重子はそんな大也を気にしていた。
「正欲」公式サイトより
同じ地平で描き出される、家庭環境、性的指向、容姿 様々に異なる背景を持つこの5人。だが、少しずつ、彼らの関係は交差していく。
まったく共感できないかもしれない。驚愕を持って受け止めるかもしれない。もしくは、自身の姿を重ね合わせるかもしれない。それでも、誰ともつながれない、だからこそ誰かとつながりたい、とつながり合うことを希求する彼らのストーリーは、どうしたって降りられないこの世界で、生き延びるために大切なものを、強い衝撃や深い感動とともに提示する。いま、この時代にこそ必要とされる、心を激しく揺り動かす、痛烈な衝撃作が生まれた。 もう、観る前の自分には戻れない。
「正欲」見どころポイント(ネタバレ注意)
以降、ネタバレを含む感想になります。
特殊な性的嗜好とは?普通とは?
本作では、「水フェチ」の特殊な性的嗜好もつ3人が登場しますが、果たしてこれが異常なのか?
ほとんどの人が観たほうがいい作品だし、これからの時代、事件や犯罪を「おかしなやつ」だけで解決するのはナンセンスと感じました。
今作では、吾郎ちゃんが完全に「悪」のように扱わている気がしましたが、実際現実にはこういった人が多い。僕自身も例外ではないと思います。
ただそれが多様性だと思うし、「いろいろな人がいていい」。ここが1番のメッセージだと思います。
ここから「ポイント3つ」に厳選して紹介します。
異常=バグ
「異常」というのは、普段の生活を「自然体」でいられる人が、固定概念で生み出したことだと思います。
自然に「生きられる人」が楽しいことは、自然に「生きられない人」にとっては苦痛に変わってしまう。
ここは、周りのサポートが絶対の必須になり、理解が得られない場合、「死」や「法を犯す」ことにつながってしまうと感じました。
生きてきた道のりの”否定”
生きるのに必死だった道のりを「普通」や「当たり前」などの言葉で、否定されたらどんな思いをするでしょうか?
自然体で生活できる人が、「楽しい」と思えることを封じ込められたら、おかしくなっていきます。
しかし、自然体で生活できない人は、それが「常」。
今作はほんの一部であり、世の中には「悩み」を隠し、苦しみながら生きている人がたくさんいる。
こういった方々を助けるには、周りの人の「変化」と「理解」が必要不可欠だと感じました。
圧倒的な演技力
新垣結衣、磯村勇斗、佐藤寛太この3人はレベチだった。
ガッキーに関しては、今作のキャラクターのイメージがなさすぎて新鮮だった。孤独を感じたときの狂気ぶりは、すごかったし、素晴らしい演技だった。
磯村勇斗と佐藤寛太は目力がとにかくエグい。
目だけで「苦しみ」とか「痛み」が伝わってくる。「嘘をついていない」って感じの訴えがすごかった。
ちょっとラストの取り調べは、圧巻だったかな。
「正欲」感想・まとめ
正しい欲なんてない
すべての「欲」が認められるのは、現実的にまだまだ難しいのかもしれない。
ましてや、世界的に見ても遅れが目立つ、日本だとなおさら…。
しかし、人には言えない嗜好で「苦しむ人」がいることを知るうえで、非常に勉強になる作品です。
差別的なことも含め、世に気軽に話せる、話せなくても白い目で見られない環境になればいいなと思いました。
面白い作品なのでぜひ観てください!
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